キャッシングに関する悪徳業者の1つに「偽装質屋」というものがあります。偽装質屋は主に年金暮らしの高齢者をターゲットとしているため、その被害がなかなか表に出てきません。ここでは、そんな偽装質屋の手口や対策について書きます。
偽装質屋のポイントを箇条書きすると、下の通りです。
ということです。で、なぜわざわざ質屋を装うのか。その理由は下の通りです。
ということです(金利は実質年率という数字)。
つまり偽装質屋は「もともとは普通の闇金業者」だったんですね。しかし、それが取り締まりが厳しくなって、「業態替え」したわけです。質屋の法定金利が普通より高いことに目をつけて「質屋ってことにすれば、合法的に暴利を取れるんじゃね?」と思ったわけですね。
金利以外では、下の点が違います。
という違いです。ここで「質流れ」について説明します。
これは「あずけていた物品を、そのまま質屋のものにする」ということ。つまり、期限通り返済すれば、その物品(質草=しちぐさ)は、無事に返却してもらえたのです。
しかし、返済できなかった場合、リサイクルショップのように、そのまま質草は質屋のものとなり、それで契約は終了です。もう利息の返済はしなくていいわけです。
(代わりに、ブランド品や楽器などの質草も返ってきません)
という風に普通の質屋なら「質草を流して終わり」なんですね。しかし、偽装質屋はそうでない。「質流れした後も、まだ利息を取り続ける」のです。
可能な理由は下の通りです。
ということです。これが若い人を相手にしていたら、ネットなどで情報収集できるので、すぐに「おかしい」ということに気づきます。また、若い人はもっとまともな業者(アコム・プロミスなどの大手の消費者金融)で借り入れできるので、わざわざこのような「胡散臭い」質屋に、そもそも借りに来ません。
(胡散臭いというのはあくまで「偽装質屋」のことであり、通常の質屋のことではありません)
ということで、もう偽装質屋に借りに来た時点で「偽装質屋を訴えるだけの知識も生活費の余裕もない」人たちなんですね。しかも、これが異常な状態だと気づかない高齢者もたくさんいます。その理由は「年金から天引きされている」ことにあります。
偽装質屋は、会員制のサービスのように自動的に口座から引き落としをします。つまり、取り立ては一切ないわけです。
このため、高齢者のほとんどは自分がいくらのお金を取られているのか、あまり気づきません。毎日、体のあそこが痛い、ここが動かない、やれ入院だ…ということを繰り返しているような人たちなので、それどころではないのです。
というわけで、気づかないうちに「何か相当年金が減っているな」と感じるだけなのです。偽装質屋に取られているというのはわかるのですが、「それでも他にお金を借りるところもないしねぇ…」と言って、通い続けてしまうのです。
2013年4月にNHKのクローズアップ現代で、偽装質屋の特集賀されました。その時出演していた「偽装質屋に借りに来る高齢者」の方と、NHK取材班とのやり取りです。
確かにこのお年寄りの言うとおり、60才を超えた年金生活者(年金受給者)の方がお金を借りるのは、非常に難しいのです。一応キャッシングの年齢制限としては、
とはなっていますが、実際には60才に近づいた時点で、
などの条件でなければ、融資されないようになっています。つまり、社会の平均以下の収入でずっとやって来たような高齢者の方の場合、キャッシング審査には通らないということなんですね。
こうした高齢者の方を見て、キャッシングの知識がある人だったら「年金担保貸付制度で借りればいいじゃん」と思うでしょう。これは「年金から返済するのを条件として、国から低金利で借りる」というものです。
実は、偽装質屋の利用者は「すでに年金担保貸付制度を利用している」という人が多いのです。最初は年金担保貸付制度だけでも大丈夫だったのですが、医療費などがかさんでこれでは生活できなくなり、偽装質屋に手を出した…という人もいるんですね。
実際、どこまで彼らに配慮するべきなのかわかりません。年金だけでも問題なく生活している年金受給者の方がほとんどなわけですから。偽装質屋の被害者の方々の、若い頃の生活に問題があった…という考え方もあるでしょう。
この点、どこまで弱者を救済すべきかという問題は難しいのですが、とりあえず自分や自分の親などがだまされないよう、こういう詐欺業者の存在は、知っておきたいものです。
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