キャッシングの世界には「紹介屋」という職業があります。職業と言っていいのかどうかわからない違法業者ですが、彼らのやり口・手口を説明します。
まず、彼らは「300万円まで年率1%でご融資!」などという、あり得ないほどの低金利で広告を出し、申し込み者を呼び込みます。そして、申し込んできた利用者に対して、こう言うわけです。
「いやあ、うちでは今月申し込みが立て込んでいまして…。しかし、大手の消費者金融とつながりがあるので、良かったら審査に通るよう話をつけますよ」
…という語り口ですね。大手の消費者金融というのは、SMBCモビット・プロミスアコム・アイフルなどです。そして、申し込み者が「お願いします」というと、「では、手付金として5万円振り込んでください」などと指示を出すわけですね。
彼らの手口の1つとして、下のようなことを語るものがあります。
「うちは、アコム・プロミスなどの大手業者が連携して設立した、一般社団法人なんですよ。属性が良い人に限って、低金利でご融資しているんですね」
「え?何でわざわざ低金利で融資するのか?それはこの業界に親しみを持ってもらうためです。キャッシング業界のイメージが悪いのは、属性が悪い人ばかりが申し込み、結果破産者が増えるからなんです」
「だったら、最初から属性の良い人に融資したらどうか、と我々は考えたわけです。そうして社会的に信用のある人たちが、ごくごく普通に消費者金融を利用してくれたら、カードローン業界全体のイメージもよくなるのではないか、と」
「そして、業界全体のイメージが改善されたら、ヤミ金・街金などの違法業者も、徐々に減っていくはずなんですよね」
…という語り口です。お人好しな人だったら、確かに騙されそうなトークでしょう。ビルがしっかりした建物で、その人物が信用できそうな外見&語り口であったらなおさらです。
この詐欺のポイントは、属性の良い人、つまりクレジットスコアが高い人を騙しているということです。
人間には「認知バイアス」というものがあり、現実を正しく見れません。そして、自己評価に関しては必ず、「プラスの認知バイアス」が働きます。これは心理学用語で、
などと呼ばれるのですが、このバイアスがかかると、人間の判断力は非常に落ちるのです。「そうか、確かに俺は平均年収以上稼いでいるし、一度も転職してないし、借金もほとんどしたことないしな!」などと思い、鼻高々担ってしまうんですね。
そして見事に騙されるわけです。お気の毒ではありますが、海外生活で同様に詐欺に遭った自分の経験から言わせていただくと、これは良い薬です。「自分は特別な人間ではない」という、当たり前の現実を教えてもらえるでしょう。
逆の手口として「クレジットスコアが低レベルな人を騙す」というものもあります。この場合は、下のようなことを語ります。
…というような語り口です。で「何で、プロミスがそんな会社をわざわざ?」と質問すると、
「ああ、これはですね。優良顧客を他社に取られず囲い込むためです。収入が多くてたくさん借りてくれる人は、どの会社からも取り合いになりますからね。思い切り低金利にしてでも、呼び込みたいわけです」
などとまるで「あなただけに特別に話します」というように、嘘の情報を説明してくれます。論理的な思考ができない人、人生経験の少ない人は、これにも簡単に騙されてしまうわけです。
世の中は優しい人の方が多いですが、「常に誰もが優しくしてくれる」とは限らない、…というのは当たり前のこと。しかし、育ちが良く、誰もが自分に優しく接してくれたような人だと、これに気づかないのです。
キャッシングの紹介屋の詐欺だけに限った話ではありませんが、「自分は特別な人間ではない」「常に優しい人間だけが、寄ってくるわけではない」という動物として当然の危機感を、常に持っておくべきだと思います。
これは決して冷たいことではなく、そういうリアルな人間臭さを持っている人の方が、本当にいい人とあった時、より深い絆を結べるはずです。
やや精神的な話になりましたが、カードローンの詐欺は、紹介屋でも何でも結局「人間性の問題」なので、その部分から改善することをおすすめします。そうすれば、キャッシングに関して詐欺に遇わないだけではなく、ビジネスでも海外生活でも、あらゆるトラブルを避けて生きていけるでしょう。
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