キャッシングの借り入れ理由で一番怖いのは「ギャンブル」です。危険な理由は、
…ということです。
正確に言うと「自己破産できない」のではなく「借金がチャラにならない」ということです。さらに正確に言うと「自己破産の免責が降りない」ということ。
「自己破産」だけでは借金がチャラにはなりません。その後裁判所から「免責」というものがおりて初めて借金がチャラになるんですね。で、ギャンブルによって破産した場合、この免責が降りないということです。
これは、ギャンブルによる借金が「免責不許可事由」というものに当たるからです。「これが原因の場合は、免責しませんよ」という条件ですね。
自己破産の免責不許可事由は、下のようなものです。
…というもの。2度目は絶対ダメというわけではありませんが、かなりの確率でダメになります。
次に「高確率で破産する」という部分ですが、どのくらい破産するのか、データを見ていきましょう。
多重債務問題を扱う「高松あすなろの会」という非営利組織によれば、相談に訪れる人の約3割が、「ギャンブルが原因」とのこと。
2005年~2011年の相談者は、27.4%~44.3%という割合で、推移しています。多い時には「半分近く」が、ギャンブルが原因なんですね。
もちろん、これはあくまで「高松あすなろの会」のデータです。ただ、高松だけギャンブル依存症が多いとか少ないということはないでしょう。日本全体でも、大体これに近い数値になるはずです。
厚生労働省研究班が発表したデータでは、「日本人の成人の4.8%」が、ギャンブル依存症となっています。
この数値については異論もあり、カジノ研究を専門とする評論家・木曽崇氏によれば「目眩がする」ほどデタラメだそうです。
ということで、「4.8%」という割合が正しいかは置いておき、厚労省の見解はこうである、というのは事実です。つまり「日本人の20人に1人」は、ギャンブル依存症ということですね。
この2つのデータから、「ギャンブルで借り入れする人は、他の理由よりも、約7倍破産しやすくなる」といえます。理由は下の通りです。
ということです。実際、確かに7倍くらい破産しやすいでしょう。
「パチンコ・競馬・スロットなどのためにお金を借りると、破産しやすいのでNGです!」と感覚で言われても納得できないでしょうが、こうして計算してみると、いかに破産のリスクが高いか、よくわかるはずです。
ギャンブル依存症は、世界保健機構(WHO)から、正式に病気として認定されています。
などの呼び名があります。脳の動きのパターンに明らかに異常が見られる「病気」であり、脳という内臓の疾患ですから、「精神力だけで治る」などと、思ってはいけないんですね。
虫歯が精神力では治らないように、肺炎が気持ちでは治らないように、脳という臓器の疾患も、心だけでは治らないのです。ということで、ギャンブル依存症を治療するためには、専門家の正しい矯正が必要と、まず意識してください。
貸付自粛制度とは「私に対して、融資をしないでください」と、消費者金融や銀行カードローンなどの金融機関にお願いするものです。クレジットカードなどにも適用されます。
これを申告すると、少なくとも3ヶ月は、一切の借入審査に通りません。そのため、ギャンブル依存症が再発して、またお金を借りたくなってもできないということです。
こうして「ギャンブルをするのが、物理的に非常に困難」という状態が続けば、人間は面倒なことはやりたくない生き物ですから、徐々にギャンブルから足が遠のいていきます。
貸付自粛制度は本人の同意が必要なので、家族が勝手に申し込むことはできません。あくまで本人に「自分のギャンブル好きは病気である」「もう借金はしたくない」という意識があって初めてできることです。
貸付自粛制度はいい制度ですが、問題もあります。それは、「普通のカードローン会社から借りられないため、闇金業者から借りてしまう」ということがある、という点。
人間の決意というのは変わってしまうもので、特に依存症の人は、その発作が起きるとどうにも止められなくなってしまうのです。そのため、自分で貸付自粛制度を申し込んだのに、どうしてもお金を借りたくなり、それで闇金業者やクレジットカードの現金化に手を出してしまう…ということがあるんですね。
他にも「携帯キャリア決済の現金化」など、ブラックな方法でお金を調達する手段はいろいろあります。そのため、貸付自粛制度を利用しても、逆に危なくなるケースもあるのです。
この点は、家族や夫婦などで監視していくしかありません。大変かも知れませんが、「多重債務&ギャンブル依存症」がセットになった方が立ち直るには、最初のうちは労力が必要なのです。
(一定のレベルを超えたらどんどん良くなっていくので、安心してください。辛いのは、何でも最初だけです)
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