中小の貸金業者の中には「車金融」という形態の業者もあります。「自動車金融」「車融資」などと呼ばれることもあります。「車を担保にして、お金を貸す」というシステムですね。
これは車以外に信用になるものがない人にとっては、便利なキャッシング方法です。反面、中には法に触れることをしている業者もあるので、注意が必要です。
最初に車融資の仕組みを説明すると、下のようになっています。
という仕組みです。以下、詳しく説明します。
なぜ、査定額満額ではなく、3割少なくするのか。これは「その後もお客さんが車に乗る」からです。「車を担保」といっても、「自動車そのものを、業者にあずけている」というわけではありません。
あくまで車検証の名義が業者になるだけで、車自体は本人の手元にあるのです。そのため、「査定後も、まだ運転できる」んですね。「乗ったまま、お金を借りられる」ということです。
ということは、査定後もそうやって乗っているうちに、またさらに車が消耗します。その分査定価格も下がるので、それを織り込んで「3割減」としているのです。
これについては、まったく違法ではありません。自動車が消耗品であることを考えれば当然のことですし、だからこそ利用者も納得して、これでお金を受け取るわけです。
問題なのは「車検証を本人から取り上げる」ということ。というのは、車検証は「常に車に乗せていないといけない」ものだからです。
つまり、車検証の名義変更はまったく問題ないのですが、「運転している本人が、車に車検証を乗せていない」ということが問題なんですね。運転者(お金の借り手)も問題ですし、その問題行為を助長した(というか半ば強制した)、車融資の業者も問題があるわけです。
一応、車検証のコピーは、利用者に渡します。しかし、原本は車融資業者の金庫に保管されたままなんですね。
車金融業者は、金利を当然取ります。この金利は大手の消費者金融と同じレベルなので、問題ありません。しかし「金利以外にも手数料を取る」というのは違法です。
手数料は「車検証の名義変更」の手数料です。これで、普通車の場合は1万円程度、軽自動車の場合は7000円程度を取られるようです(業者によって違います)。
たとえば10万円を融資する時は、これらの金額を引いて、9万円、9万3000円などの金額を手渡しするんですね。そして、借用書には10万円と書いてあります。
金利以外の手数料を取る、というのは貸金業法でも銀行法でも禁止されています。そのため、車金融業者は、これを利用者には言いませんし、文書にもしません。
というように確認します。ここで重要なのは、
ということです。つまり「手数料でも印紙代でもないお金を、適当に差し引くがいいか?」と言っているわけです。「何でもないお金」なら、寄付金というか「よくわからないけど、利用者さんが辞退してくださったお金です」ということになり、絶対的な問題にはなりません。
(確信犯的にやっているので、警察が踏み込んだりしたら、確実に問題になりますが)
というように「手数料」という明記・明言はありませんが、このように名義変更の手数料が取られるのは、どの車金融業者でも同じです。そして、こういう違法行為をしている時点で、中には危険な業者もある、ということは意識してください。
これは、下のようになります。
ということです。強制保険というのは自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)のことですね。自動車に乗っている限り、必ず加入しなければいけないものです。
任意保険は、事故を起こした時などに備えて、自主的に加入するものです。これもほとんどの人が入っていますが、こちらについては名義の書き換えはありません。
(名義を書き換えると、保険のクレジットヒストリーがリセットされてしまうから、という理由もあるでしょう。)
自動車税や自動車重量税などの税金については、利用者(お金の借り手)が払います。この「自動車税を債務者が払う」というのは、銀行などが提供するマイカーローンでも同じです。そのため、これについては違法ではありません。
役所から自動車税の支払いの通知書が来ると、それが車金融業者から利用者に転送されます。そして、車金融業者に対して、その税金の金額を払うという風です。
車金融業者が繁盛するのは、特に地方です。理由は、
という理由です。最近は消費者金融でもネット申込みで便利に借りられるようになっていますが、まだまだネットが苦手な年配の方は多く、特に地方ほどその割合が高くなります。
(本当は、地方の人ほどネットを駆使した方がいいのですが…)
そのため、そういう人は「実店舗からお金を借りる」という形式に安心することが多く、プロミス・SMBCモビットなどの大手の消費者金融よりも、昔から馴染みのある車融資などの業者から借りるわけです。
ということで、このような業者は地方では割と、地元の人に親しまれていることが多いです。それ自体はとても良いことですが、一部違法な部分がある、ということは知っておいてください。
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