未成年がお金を借りると、トラブルに巻き込まれることは当然多いです。未成年や10代のうちは人生経験が少ないですし、未成年を狙う悪徳業者も多いからです。
そして、未成年のキャッシングのトラブルでよくあるのが「文書偽造罪」というもの。申込み時に未成年本人が書類を偽造したことで、トラブルが拡大する…ということですね。
これはお金を借りようとした未成年の人ならわかると思いますが、「未成年だと融資不可」という業者が多いので、ついつい年齢や職業を詐称するような書類いを作ってしまうのです。
もちろん、その申し込み者本人がすることはめったにありません。あくまで業者側がそれを勧めてくるんですね。
これは、その未成年の借金を確定させるためです。実は未成年がキャッシングした場合、親権者の同意がなかったなら、いつでも踏み倒していいんですね。
これは「未成年者の契約取消権」というものです。民法4条で制定されています。「親権者の同意がなかった場合」という条件で、未成年の借金などの契約は「なかったこと」にできるのです。
しかし、この「契約取り消し権」にも例外があります。まず1つ目が、先に書いた「親権者の同意があった」場合。もう一つが「身分詐称・年齢詐称などの詐欺行為を、本人がした」場合です。
つまり、業者はわざと詐欺行為をさせ、契約取り消し権を消滅させようとしているわけですね。こうして「未成年者本人が悪事を働く」ようにすれば、彼・彼女はその借金を、必ず返済しなければいけないのです。
これは、たとえば下のようなやり方です。
…というような内容です。もちろん、このように直接の言葉で文書偽造を促すと、業者自身が罪に問われます。そのため、もっと曖昧な方法で促すわけです。
訪問販売の悪徳業者などもそうですが、彼らは気の弱い人に対して、「場の空気」をうまく使って、こういうことをするように仕向けます。「雰囲気的に断りにくい」という時に、日本人はついつい流されてしまうからです。
こういう時は、キャッシングの審査に限らず何でも、ハッキリと断るようにしましょう。そもそも、訪問販売でも何でも、こういう働きかけは大抵あなたにとって「不快」なはずです。
自分にとって不快なことをしてきた人間は、敵として認識していいのです。なぜそんな敵のために、愛情などを注ぐのか。家族とかもっと大事な人間に対しては愛情を注がず、何で初めて会ったような他人の、しかも不快な業者のために気を使うのか。
冷静に考えれば、これほどおかしなことはないでしょう。こういう悪徳業者に対しては毅然とした態度…というよりも思いきり冷酷な目線で、突き放して臨めばいいのです。
(もちろん、それができないような弱い未成年を、彼らは狙ってくるわけですが…)
ここで一度「未成年者の契約取消権」について、もう少し詳しく書きましょう。「借金をなしにできる」と書きましたが、正確には「利息なし」です。
この契約取り消し権というのは契約を交わしたスタート地点まで遡るというルールなんですね。スタート時点ということは、あなたはまだ、業者から借りた10万円を、持っていなかったということです。
(あなたというのも、10万円というのも例え話です)
で、最初はその10万円をあなたは持っていなかったわけですから、「スタート地点」ということで、それを業者に返さなければいけません。当然ですね。業者のお金だったんですから。
ということで、未成年者の契約取消権は、自己破産のようにすべての借金がチャラになるわけではありません。
森博嗣氏の小説『すべてがFになる』のように「すべてがチャラになる」と思っていたら、大変なことになるわけですね。この点はくれぐれも注意してください。
もう一つ、未成年のキャッシングのトラブルで注意すべきこと。それは「親が代わりに返済していはいけない」ということです。
理由は一度でも代わりに返済すると、親が連帯保証人になった、という扱いになってしまうということ。そのため、その後全部の借金(利息つき)を返済しなければいけないのです。
実は、サラ金・街金の中にはわざとこれを狙って、親に返済させようとするケースもあります。彼らとしては、思い切り少額でもいいので、とにかく一度、親に代位弁済をさせたいのです。
そのため、下のような言葉で、親の代位弁済を促して来ます。
というような説明です。こうして子供が評価されていて、しかも紳士的な業者だったら、親もそんなに子供を怒りはしません。そして、1000円だったら詐欺ではないだろうと思い、振り込んでしまいます。
しかし、この時点で「親が連帯保証人になった」ことになるんですね。この時点で利息の発生も確定しますから、後はできるだけ「親に完済させない」のポイントです。
どんどん返済を遅れさせ、利息をふくらませるということですね。賢い親ならすぐに気づきますが、騙されてしまう親もいます。
というように、未成年の借金のトラブルは、親まで巻き込む面倒な事態に発展します。くれぐれも注意してください。
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