グレーゾーン金利とは「2010年より前に存在した、半分違法な高金利」です。「半分」というのは、実は当時「金利を決める法律が、2つあった」からです。
2つの法律というのは、
この2つです。(出資法の正式名称は「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」)
で、それぞれの上限金利(最高の金利)が、下のように違っていました。
つまり、出資法の金利は、利息制限法の「約1.5倍」高かったわけですね。そして、ほとんどすべてのキャッシング業者がこの「高い方の金利」で融資していたのです。
この、「片方では合法」でも、「片方では違法」という点が「グレーゾーン金利」と呼ばれた理由です。つまり数字でいうと「20%超~29.2%以下」のことですね。
(29.2%以上は出資法でも違法なので、「ブラック金利」になります)
これ自体は問題がなかったのですが、2006年に法律の改正が発表されます。
これだけなら、特に問題ありませんでした。「ち、じゃあこれから金利を下げるか」と、どの業者もしぶしぶ対応したでしょう。しかし、この貸金業法の改正では、もう一つ、重大なルール変更があったのです。
この貸金業法の改正では、「過去に出資法の金利で取っていた分も、消費者に返還しなければならない」というルールになったんですね。これはいわゆる「過払い金の返還」です。
返還しなければならない、といっても「消費者が要求してきた時だけ」でOKです。自動車のリコールのように、業者側から働きかける必要はなかったんですね。
しかし、特に長期間、多重債務状態にあった人などは、当然過払い金が大量に発生しています。10万円以上はざらで、数十万円という人も多くいました。
こういう人たちが過払い請求をしないわけがないので、大手のキャッシング業者に対しては、過払い金の返還の請求が、一気に押し寄せたのです。
特に重大な打撃を受けたのは、当時最大手の1つだった武富士。過払い金の総額は、推定で「2兆4000億円」だったと言われています。
最大手だっただけに、融資している金額も多く、過払い金も他より多かったというわけですね。アコム・プロミスなども打撃を受けましたが、特に武富士は当時強引な取り立てが社会問題になっていたこともあり、経営が立ちいかなくなりました。
(武富士は会社更生法を申請するという、事実上の倒産をしました)
なお、この時アイフルも大きな打撃を受け、会社更生法を適用する一歩手前の「事業再生ADR」という措置をとっています。
これは、ポイントをまとめると下の通りです。
となります。「2006年2月」というのは、ここで国会での発表があったからです。「将来的に、グレーゾーン金利を撤廃する」という内容です。
その後、「2006年12月」に、その法案が可決されて「2010年6月18日に完全撤廃」と決まったわけです。で、アコムなど動きの早い業者は、半年後の「2007年6月」には、金利を引き下げていたわけですね(現在の金利と同じになっています)。
中小業者の中には、大手のアコムよりすばやく動けたところもあるかも知れません。そういう業者なら「2006年2月より後は、過払い金は発生していない」ということもあるでしょう。
ただ、そこまで切り替えが素早かった業者は少ないので、大体アコムの「2007年6月」を基準としていいかと思います。
グレーゾーン利息(過払い金)の返還は「完済してから10年まで」です。たとえば今が「2015年12月」だったとしたら、「2005年12月より前」に払った過払い金については、取り戻すことができません。
ただ、これは「完済した場合」なので、完済せずにずっと返済を続けている人、あるいは続けていた人はまだまだチャンスがあります。
という人の場合「2020年まで、過払い金を返還請求できる」ということです。つまり、東京オリンピックの時までですね。
過払い金が多数発生するような人の場合、大体返済まで5年はかかっています。ということは、大体「2000年に最初の借り入れをした」人までは、2015年時点でも過払い請求ができる可能性があります。
ということですね。もちろん「2005年に完済した」場合なので、「2000年にキャッシングした人全員が、2015年まで過払い請求できる」というわけではありません。
返済期間が長かった人は、それだけ利子総額も増えてマイナスだったわけですが、「過払い請求の可能期間が伸びる」という点では、プラスもあったわけですね。
当然ですが、過払い請求は「そのキャッシング業者が倒産した」場合は、もうできません。ということで、倒産する前に返還請求する必要があります。
「いや、大手から借りてるし、大丈夫っしょ」という人もいるかも知れませんが、「アイフルですら、2014年夏までは瀕死の状態だった」ということを知っておいてください。
もう2014年を過ぎてからはアイフルも問題なくなっていますが、事業再生の締め日だった2014年7月10日は、アイフルの「Xデー」と言われていたのです。
というように、アイフルレベルの東証1部上場企業でも、倒産する可能性はあったんですね。ましてもう少し小さいレベルのキャッシング会社だったら、明日破綻してもおかしくないのです。
ということで、過払い金が発生していることがすでにわかっている人・計算できている人は、そのカードローン業者が経営危機にならないうちに、早めに申請するようにしましょう。
以上、グレーゾーン金利の解説や、関連する過払い請求の知識をまとめました。長期間キャッシングを続けていた人など、参考にしていただけたら幸いです。
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